Nobue Kanekawa’s page
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アネモネも、切り花になっても伸びるのですね。
気が付くと頭1つ飛び出していて、優美だけれど、生命力も強いんだ。
先週金曜日、『金川信江 クラリネット リサイタル』お陰様で、優しい皆さまに支えられ終了致しました。有り難うございました。コンサートの紹介文に入れたキーワードは「強く、優しく、しなやかな音楽」。どんな音楽を奏でるのか解説したつもりでしたが、もしかして、願わくば私自身そうありたいと思う、憧れる姿だったのかもしれません。
さてこちらは、終演後の写真です。共演者、ゲスト・ヴァイオリンの江頭史雄さん、ピアノの丹生谷佳惠さんに盛り上げて頂きました。この写真も撮ってくれた主人には、受付、ステマネ、譜めくり等、忙しく助けて頂きました。リサイタルという事で、私の衣装、後半はブラームスのイメージに合わせてシックな色ですがボリュームがあって光沢のあるこのドレスに、情熱的なハンガリー舞曲からはじめた前半は、シンプルですが真っ赤なドレスでちょっと派手にしました。そして、地元 東京台東区という事もあって選んだ「やなか音楽ホール」ですが、前回のリサイタルから2度目の演奏、その間にも色々な演奏を聴かせて頂いて、あらためてクラリネットの音色との相性は抜群だと思います。親しく感じられる、お客様との距離感も良い感じ。リサイタル準備の段階では、突き詰めて試行錯誤を繰り返すうちにちょっと沈んだり、励まされて少し元気になってまた頑張れたり、気持ちの浮き沈みがあるものです。終わってみれば、音楽から受け取り発した私の演奏から、素敵な感覚を拾い上げて下さったお客様の優しい言葉が嬉しく有難く。また来たねと迎えてくれた気さくな館長さんに、帰り際思わず、精進してまた戻ってきますと勢いでお約束していました。毎回、猛反省しながらも、その先のもっと素敵なものをと探究しながら続けていきたくなるものに若い頃に出会い、様々な人から刺激を受けながら続けて来られたのは幸せです。リサイタルを度々出来る様な立場ではありませんが、一呼吸おいて、いつかまた企画を練って良い時間をお届け出来る様、日々大切に過ごして行きたいと思います。
当日会場では、チラシのデザインを踏襲しつつアレンジした、こんなプログラムをお配りしました。書き添えた文章は、曲目解説というよりも選曲意図を伝えたものになったので、ご挨拶~プログラムへの誘い、としました。前半後半、個性の違った曲でメリハリのある構成にしながらも繋がりを持たせ、想像を広げながらより音楽を味わって頂けるよう、私なりに工夫しました。そしてアンコールに演奏させて頂いたのは、アーンの「クラリスに」という美しい歌曲。ヴァイオリンだけでなく作曲も専門的に学ばれた江頭さんに、特別にVn.+Cl.+Pf.のトリオに編曲して頂いたものを演奏し、穏やかな空気に満たされました。
以下プログラム記載の文章、コンサートのご報告として、転載。
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ご挨拶 〜 プログラムへの誘い
本日は、二度目の開催となります『金川信江 クラリネット リサイタル』へご来場頂き有り難うございます。前回は、メンデルスゾーンのソナタを中心に、ロマン派の愛らしい作品を集めたプログラムを演奏致しました。今回も、ロマン派を代表する作曲家ブラームスのソナタを中心に据えたプログラムですが、志向を変えて、熱き想いを奏でます。素晴らしい共演者として、ピアニストに加え、ゲスト・ヴァイオリニストを迎えトリオを演奏させて頂くこともあり、弦楽器とも縁の深い曲もご用意致しました。調和と躍動のアンサンブル、強く・優しく・しなやかな音楽をお楽しみください。
ヴェイネル/ハンガリー舞曲は、作曲者自身の指示で、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラいずれの楽器で演奏しても良いとされている珍しい作品です。ブラームスも民族音楽に魅せられハンガリー舞曲集をまとめていますが、ハンガリー人であるヴェイネルの作品は、より情熱的、直感的に伝わってきます。
バルトーク/ルーマニア民族舞曲はピアノの作品として作曲されましたが、ヴァイオリンでの演奏はじめ管弦楽、吹奏楽、など様々な編成で親しまれています。クラリネットアンサンブルとしてもおなじみです。
ハチャトゥリアンと言えば思い浮かぶのは剣の舞。この曲が含まれるバレエ音楽ガイーヌや、仮面舞踏会が吹奏楽にも編曲され親しまれていることにより、管楽器奏者にとってより身近な存在となっています。グルジア生れ、アルメニアをルーツとする旧ソビエトの作曲家。民族音楽に親しんだ後にモスクワで西洋音楽を学ぶ。本日演奏するトリオは若き頃の作品で、プロコフィエフに絶賛されパリで演奏されたのが、ハチャトゥリアン作品外国での初演奏だったそうです。
アーン/サラバンドと主題・変奏は、パリ音楽院の卒業試験曲の依頼で作曲されました。同様の依頼でクラリネットの多くの名曲が生まれています。舞曲の一種であるサラバンドに続く牧歌的にも感じる美しい旋律。前半の個性的な音楽からブラームスへの橋渡し役を担ってくれるでしょう。
ブラームス/ソナタ第2番は、最晩年に作曲されました。華やかさだけでなく、クラリネットの持つ渋さや深い音色の魅力が引き出されています。同じ中音域の楽器であるヴィオラでも演奏されます。穏やかな旋律の向こうに溢れる熱き想い。天から降り注ぐ光の中にいるような心地。聴く度、奏でる度、人生の折々受け手の心のありようと響き合い、あらたな情景に満たされます。今宵作曲家から受け取り、お客様へリレーされる音楽。心の中を満たすのは、どのような情景でしょう?
2014年11月27日木曜日
強く、優しく、しなやかに